白魔道士になりたい

常にFLASHBACK

優しさに憧れてここまできた

私はかっちに恋をし始めた時期を明確に覚えていない。

理由はシンプルなもので『男の人として好き』ってより、『人間として好き』の方が先にあったからだ。

 

私は衝撃を受けた。

何この人

こんな人いる?

人間じゃないのでは…

 

ってのが多分第一印象。

こう字面で見るとなかなかエグみしかないがしょうがない。だって本当のことだし。

 

 

 

出会った当時、私はほんとーーーーにどうしようもないクズみたいな人間で、

人の気持ちを考えない、私さえよければオッケー、私が言ってることがジャスティス!

みたいな今思い出すだけで頭抱えたくなるような自分勝手人間だった。

一部の人から苦言を呈されることもあっても、でもそれでも周りの人も別についてきてたし、じゃあいいじゃん!みたいな。

恥ずかしいし、封印したいけど、これもまた私の一部ってやつだから と思えるようになったのもかっちがいたからだと思う。

 

尖った私と今も昔も変わらぬ温厚菩薩なかっちが出会った。

話してくうちにみるみる私から棘とか毒気みたいなのがするりと抜けてって、え、え、なにこの人…?

で、冒頭に戻る 的な。

 

 

 

 

 

 

初めてだった。

生まれて初めて、人に憧れた。

こんな人に成りたいって強く思った。

いや寧ろこの人に成りたいってとんちんかんなことも思った。

今までは出会う人全部を自分色に染め上げたくて仕方なかった自己欲求の塊みたいな人間が、

生まれて初めて人に染められたいって思った。

 

 

ただ、その術を知らなかった私は本当にとんちんかんな行動に出る。

本当にかっちに成ろうとしたのだ。

 

 

 

 

 

手始めにかっちの格好を真似してみた。

かっちは古着が好きで、よくしている格好が黒いもこもこハット、モッズコートに細いジーパンを裾で一段折って、マーチンの10ホールをよく履いていた。

偶然にも私もマーチンの10ホール、しかも色も同じものを持っていたので早速実戦してみた。

勿論かっちには成れなかった。

 

じゃじゃじゃあ!趣味行こう!とやたらポジティブな自分。

本当にとんちんかんすぎて頭のネジを締め直してあげたくなる。

 

かっちの好きな小説を聞いて、即効紀伊国屋でお買い上げ。

ただその本がカニバリズムをテーマにしていた小説で、えらくたまげた記憶がある。

あの温厚なかっちがカニバリズム…なかなかイコールで結びつかず、本当にどうでもいいことにうーんうーんと頭をうねらしていた。

そこも『逆にギャップじゃね?』と思い始める。

 

書いてて再確認したけどこれ当時の信者フィルターかかり過ぎてまじでいつから恋になったんだかよくわからんね。

お薬処方しましょうねーってくらいイタイ。分かってる、痛いのは分かってる。

 

その時作ってた曲もそんなんばっか。人からこんなにもダイレクトに影響を受けるって経験がなまじなかったからはしゃいでた?というより浮かれてたのかもしれない。

 

 

 

 

好きな音楽、好きな食べ物、好きな映画、好きなアニメ…

 

取調べ室の一コマみたいに質問は数を帯びていく。さながら気分はデカチョーだ。

 

 

 

質問を重ねてくにつれ、大きな違和感を感じた。

似ているのだ。かっちとわたしの趣味思考が。

カテゴリー分けをしていくとそれは明確なものになっていった。

例えがオタクじみててとても申し訳ないなぁと思うんだけど、

ガンダムシリーズで一番好きなのは08小隊! とか

ジョジョで一番好きな部は4部! とか

好きな食べ物がハンバーグ、スパゲッティー、オムライス、なんかの子供が好きそうなメニュー! とか

 

 

ここまできたら信者のお花畑モードにキラキラエフェクトがかかりだしてしまうわけで。

 

 

 

 

意図的にそうなったのか、本当に元々の性格が違うだけで似たもの同志だったのか。

それは今でも分からない。

 

 

 

わがままで、気が強くて、他人の気持ちに寄り添えなくて、それでいい。寧ろそれがいい、これは武器なんだと思ってたあの時の自分。

今だってそんな誇れた人間ではないけど、その時の代償は確かにあった。

返り討ち喰らって、ボロボロになって、そうやって生きたらいいのか分からず、迷子になって彷徨ってた私を、かっちが拾って救い上げてくれた。

言葉をくれた。

優しさをくれた。

笑ってくれた。

身体をくれた。

安心をくれた。

約束をくれた。

全部をひっくるめて許してくれた。

 

だからわたしにとっての神様はかっち唯ひとりなのだ。

 

 

 

 


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