白魔道士になりたい

常にFLASHBACK

帰り道にちゃんと明かりは灯っていた

お義父さんお義母さんに温かく迎えてもらった。

そのまま早速お墓に行こう!ってことになって、お義父さんに詳しい道案内をしてもらいながら車を走らせた。

 

道中は近況とか、そんなこと。3人でぽつりぽつり話すんだけど、なんか会話が続かない。

私はぼんやりと、みんなが抱えてる寂しさとか悲しみを当分で割れたらいいのになぁとか、そんなこと考えてた。

 

 

 

 

お墓について、住職さんに挨拶して、まずは掃除から。

四十九日以来だったから当然お花も枯れちゃってたから新しいのに変えた。

 

本堂にも入って、お線香上げてきた。

 

暫くお義父さん、お義母さん、私はそこに居た。

(かえろっか)って誰かに云われて、ようやっと重い腰を上げた。

 

 

 

 

帰り道、お義母さんが話し始めた。

なんかね、道で若い夫婦とすれ違ったりすると、涙が出ちゃうんだって。

純粋にいいなぁ、とか、羨ましい、とか、複雑な感情が胸を支配するんだって。

 

(あの子、子供欲しいって云ってた)って云われた。

なんだよかっちよ、子供欲しかったのかー。

籍を入れた時、暫くは2人で新婚さんごっこしとこ。

式とか旅行とか引越しとか、全部落ち着いたら考えよ。

くらいにしか話してなかった未来の話。

ちゃんとくるはずだったかっちの未来の話。

あーあ。お義母さんに伝えるくらい、欲しかったのかぁ。

バカだなぁ云えよ。

気付かなかった私もバカだ。

大バカだ。

なんでもっとちゃんと実のある話をしようとしなかったのか。

悔やんだってしょうがないけど、今だけは悔やませて欲しい。

それでどうなるってわけじゃないことは分かってる。

 

今度はちゃんと、(悲しさと悔しさの感情から)溢れそうになる涙を堪えながら、かっちの実家に帰った。

 

 

その後はお義姉さんも来てくれて、ちらし寿司をご馳走になった。

やっぱり、来てよかったな、と漠然と思えた。

 

どんなに辛くても、痛みや悲しみは当分で割れない。割れないけど、みんなで同じ大切な人を思って過ごす時間はかけがえのないものだ。

今はこれがめいっぱい。

 

 

 

 

 

 

帰りはハイパー渋滞に巻き込まれてしまって、3時間くらいかかってしまった。

でも無事に帰ってこれた。

自宅に着いて、すぐかっちコーナーに火を灯した。

レンタカーの明細票を広げてみせた。

(すげーだろ) (かっけーーだろ) (褒めて褒めて!!)

 

『久しぶりの長旅、お互いおつかれした!』

って声に出して、2回目の月命日は終わった。


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