前に(かっちは私がゲームをやっていて、それを見ているのが好きだ)と書いた。
そんなかっちが、私と一緒にプレイするゲームが唯一あった。
それが【FINAL FANTASY XIV】。通称【FF14】だ。
オンラインゲームである。2013年のサービス開始からずっと、ほぼ毎日ログインしてせっせこ遊んでいた。
最初は私だけがやっていて、それを隣でかっちは見ていたのだけれど、元々FF11民だったかっち。
『面白そうだから俺もやりたい!!!』と云って、その週末には秋葉原でゲーパソを買ってきたのである。
だからうちにはゲーパソが2台、横並びで置いてある。
これを書いてるのは、そのうちの1台。私が動かしていた方のパソコンだ。
うちに訪れる人間は大体、この異様な光景に華麗な突っ込みを入れてくれる。
まぁおかしいわな。
綺麗なグラフィック、かっこいい音楽、惹きつけられる世界観。
友達も沢山出来た。
変なとこ凝り症のかっちは、武器や装備のステータスなんかをがっつり調べて、あれがいい、これがいい、なんて話もしょっちゅうしていた。
FF14の戦闘における(役割)というのが大まかに分けると3種類ある。
敵のヘイトを集めて、みんなの盾になるタンク。
魔法や物理など、攻撃力に特化したDPS。
みんなの回復、蘇生などを引き受けるヒーラー。
かっちは最初、ずっとメインはタンクだった。ジョブはナイトだ。
私のメインジョブは竜騎士。物理のDPSだった。
ずっと2人で組んでいた。
大人数でのレイドなんかはそのゲーム内で出来た友達を集めて、みんなで攻略してって、強い敵をやっつける。
基本はこれに尽きるのだ。
8人での難易度の高いレイドに本格的に挑もう!ってなった時に、どうしてもゲーム内でのタンク不足が問題になっていた。
先陣を切って、敵視を集めて、みんなを連れて進めていかなきゃいけない役割。
ダンジョンなんかでは安全な道筋も頭に入れておかないといけなかったし、今はどうか分からないけど、当時はタンクの負担がとても大きかった。
8人PTの内訳はタンク2人、DPS4人、ヒーラー2人だった。
じゃあ私がタンクをやろう!となって、必死こいてナイトのレベルを上げた。
かっちに色々教えてもらいながら。
だって2盾のコンビなんてかっこいいじゃん!
背中合わせのバディものみたいじゃん!わっほい!
そんな浮ついた思いで私はメインジョブをナイトにしたのであった。
かっちは戦士のレベルを上げた。
そうして、かっちと私の2盾コンビが結成したのであった。
友達もみんな喜んでくれた。
身内でのタンク不足が解消するし、なにより隣で話しながらやっているから連携も取り易いだろうと。
そう、友達にはみんなに所謂(リアルで付き合っている同志だよ)という話はしてあったから。
結婚報告した時もみんなすごいお祝いしてくれたなぁ。
嬉しかった。私はオンラインゲームってもんはほぼ初めてで(モンハンFをやっていたけど、あれはそういう交流が皆無なゲームだった)、ネットの中で生まれる人間関係 ってのが新鮮で、斬新で。
揉め事などには幸い、巻き込まれたりはしなかった。
温厚な愉快な人たちに恵まれて、でも攻略は本気でやる!みたいなスタンスがとても性に合っていた。私にも、かっちにも。
でもやっぱり、病気が見つかってからは全然インする気になれなかった。
私もかっちも、正直それどころじゃなかったってのが一番。
でもかっちは『ぼっちーFF14やりなよーー俺見たいよー』って云ってた。
だから、ちょっとやったりはした。かっちも調子のいい時は少しインして、軽いクエストなんかをこなしたり、IDでみんなと遊んだりしていた。
最後まで、かっちはFF14をやっていた。
死んじゃう前の日の夕方から、ちょっとせん妄が入ってきた。
『ニーズヘッグ倒さなきゃ』
『こっちの方が効率いいんじゃない?』
『コントローラーの設定変えた?』
『彫金のクエ終わったっけ?』
『〇〇さん今日仕事終わるの遅いって云ってたっけ?』
全部、病室での話だ。
『ねーそろそろ倒さないとねー』
『そうなん?』
『変えてないよーずっと同じだよぉ』
『終わってる終わってるwきみカンストしたやんかwww』
『なに?ニーズいくの?』
本当に、楽しかったんだろうな。
私も、楽しかった。
かっちと好きなゲームが出来て、楽しかった。
あれからまだ一度もイン出来ていない。
今インしたらすごい浦島太郎状態なんだろうなぁ。
入院中とかでも、『ぼっち昨日ちゃんとインした!?』って聞いてくる意識高いプレイヤーだったなかっちはwww
きっと私がまたコントローラーを握る日を望んでるんだろうなぁってのは分かるんだけどね。
まだまだかかるなぁ。
わけわかんない話でごめんね。
でもこれは書いて残しておきたかった。
よく知らないゲームの話なんて、読むのだけでも大変だと思う。
それなのに、最後まで読んでくれて、ありがとう。