白魔道士になりたい

常にFLASHBACK

どうしてここに居ないのか

土曜日は久しぶりに車の運転をした。

同乗するのはお父さんとお母さん。

一緒にかっちの実家に行ったのだ。

 

 

 

 

 

かっちはすごくおしゃれな人だ。

帽子やスーツが好きで、(誰が着るんだよこんな派手なシャツ…)と思わず突っ込みたくなるような謎柄シャツなんかを山ほど所持している。

それがちゃんと似合ってて、着こなせるのがすげーなぁ と。

ただの旦那自慢が酷くなるので話の続きを。

 

スーツはすごく場所をとる。

押入れの掃除をしていたら、見たこともないスーツが3着も新たに出てきて笑ってしまった。

黒い普通のスーツ2着と、紫のストライプでかわいいサスペンダーまで付いているやつ。

それと、お気に入りでよく着ていたほっそいモッズスーツ。

新しく作ったグレーのスーツ。

結婚式用に作ったタキシード。

6着もあって、どうしよう と思った。

そんな時に思い出したお義母さんの言葉。

(捨てるか手元に残しておくべきか、迷ったらこっちに持ってきてもらって全然構わないからね!)

スーツだけじゃない。

きっと掘れば掘るほど、この部屋はそんなものにまみれていて、私はその度に取捨選択をしなくてはいけない。

そんな私を暗示したかのような過去のお義母さんの言葉。

その言葉に甘えさせてもらおうと思い、スーツを持っていくことにしたのだ。

 

 

 

 

 

久しぶりの車は楽しかった。

いざとなったらお父さんいるし。

車内もとても楽しく、渋滞なんか皆無で予定していた時間より随分早く着いてしまった。

道間違えて海ルートでいけなかったけどね。海が見たいと云ってたお母さん、メンゴ。

 

 

かっちのお義父さんお義母さんはやっぱりあったかく迎えてくれた。

いつもそう。

かっちもそうなんだけど、多分この一族からはマイナスイオンが止めどなく出ている。

下手なパワースポットよりもありがてぇな なんて思いながら靴を脱いでおうちに入った。

 

お線香をあげた後、お義母さんがお昼ごはんの用意をしていてくれたので、私も台所でお手伝いがてら話をしていた。

お義母さんはかっち亡き今、一番私を心配してくれている。

(家がね、近かったらね、いつもぼっちちゃんのとこにいくのに…)

と毎回毎回云ってくれる。

私も、心配かけちゃいけない。と思う反面、やっぱり(お義母さんと一緒だ)と思う。

 

お義母さんは、趣味で前から通っていた手芸教室に通えなくなってしまった と云った。

頑張って元気にならなきゃ と思って、なんとか重い腰を上げ向かったのに、風の噂で訃報を知った人たちに根掘り葉掘り聞かれたらしい。

(どうして亡くなっちゃったの?)

(長患いだったの?)

(いくつだったの?)

(かわいそうにねぇ)

(なんで云ってくれなかったの?)

(お葬式はどこでしたの?)

(お墓は?)

(奥さんはどうしているの?)

(子供はいたの?)

 

この話を台所で、(やっぱ辛くてね…ダメだったw)って無理して笑いながら云うお義母さんを私はぎゅっと抱きしめた。

それしか出来なかった。

どうしてこんな酷い言葉を放てるのか。

息子が死んだんだよ。

なんか云ったらなんかしてくれんの?

葬式や墓がどこだろうがいいじゃん。

なんで酷い言葉には自覚がないんだろう。

どうしてお義母さんを悲しませることを云うんだろう。

悲しみと怒りでわけわかんなくなった。

 

だから、(やっぱり一緒なんだ。お義母さんには悪いけど、一緒なんだな)って思った。

 

 

そうして出来たお昼ごはん。

かっちの好物であふれたテーブル。

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圧巻でしょ?

これ全部めちゃくちゃ美味しいんだよ。

 

食後はお義父さんが作ってくれたマロングラッセを食べた。

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甘過ぎなくて、匂いもよくってとても美味しかった。

やっぱり親×ご飯=はりきり が発動してしまう私。

この日もはりきって食べた。

やっぱり家に帰ってお腹痛くなるんだけど、それでもはりきらずにはいられない。

 

 

 

 

んで、本題のスーツに。

悩んだ結果、かっち一番のお気に入りだったモッズスーツとタキシードはまだ手元に置いておくことにした。

から、残りの4着を実家に置かせてもらうことに。

一着一着開けて、話をみんなでした。

紫のストライプのやつはおとうさんズがえらく気に入り、お義父さんが着るよ って。

かっちはどう思うだろう。

嬉しいよねきっと。

嬉しいに決まってる。

だってかっちは私のことは勿論、私の家族、それからなにより自分の家族のことが大好きだから。

大切にしてきたし、大切にしてもらってた。

こんな至らないマックスな私なのに、(今も勿論大事な娘だ)って云ってくれるんだ。

私の出来る限りのことしてあげたいって今も昔も思っているよ。

 

 

 

 

そして東京に帰ってきた。

付き合ってくれたお父さんお母さんにもありがとうを云った。

私はやっぱり恵まれてるんだ と思う。

うちの両親は(かっちがいい子だったから、ぼっちがいい子だったから、だから親だって友達だって今周りにいるんだよ)と親バカ全開なことを云ってくれる。

そんなことを云ってくれる、元気な両親が居ることだって恵まれてるってことなんだろう。

 

かっちがここに居てくれれば、ほんと私最強なのになぁ なーんて思った。

とどのつまり結局それ。

ありがたいし、嬉しいんだけど、かっちが居ないこととそれはべっこの世界の話みたいなんだ。

簡単に生きるってこんなにも難しくてわからないことなんだな。

 

 


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