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白魔道士になりたい

常にFLASHBACK

母の日 あの最高に照れた顔を思い出すよ

かっちは恥ずかしがり屋だ。

そしてシャイだ。

かっち自身の両親に対して発動力が極めて高い。

付き合い始めて最初の母の日が迫った休みの日。

お母さんに贈る花を見に花屋さんに行った。

かっちも当然なんかするんだろうなぁって思ってたから。

 

両親とも仲が良くて、家族は円満。

そう聞いていたし、実際に挨拶も済ませていたから(何かプレゼントを贈る)ってことに何の疑問もなかった。

だから『かっちはどれにする~?』って聞いた時のあの少し強張った顔。

あの顔は今からするとなかなかにレアだったな なんて思う。

 

 

 

フラワーアレンジメントをちらちら見て挙動不審なかっち。

お店の中で居場所がなさそうにもじもじしている。

私が『どうしたの?』と聞いた、その答えによって総ての謎が一瞬にして解けた。

 

かっち『‥俺、母の日にお母さんにプレゼント贈るの、恥ずかしい!!!』

 

 

 

うそーん とね‥思いましたよ。

アンタ30過ぎの男が恥ずかしいって‥どういうことよ?と思って詳しく話を聞くことに。

20歳の頃にはもう家を出たかっち。

それから盆と正月にはなんとか、本当になんとか帰省するレベルのかっち。

小学生の頃とかはそりゃおこずかい貯めてカーネーション贈ったりしたよ!?なかっち。

わりかしすぐ精神的にも経済的にも大人になったかっち。

親に甘えたり、スマートにプレゼントを渡す術がわからない と溢したかっち。

贈りたい気持ちは俄然あるんだけどね なかっち。

 

じゃあ私を使いなよ!とすぐ云った。

私に云われて~とかでもいいし、なんなら連名でもいいし。と。

気持ちがあるなら贈ってあげて欲しいな。と。

勿論、無理強いはしないよ。と。

うちにはうちの距離感があるように、かっちんちにはかっちんちの距離感があるだろうし。

でも、まだその時はかっちの両親と1度しか会ったことがなかった私でも、(あのお母さんなら手放しで喜んでくれるだろう)と思ったから、そんな提案をした。

 

『ぼっちとの連名 ってことなら贈れるかも‥』と云ったので、連名で贈った。

うちのお母さんにも勿論連名で。

後日、この話をお父さんとしていたら(かっちの気持ち、わかるなぁ~)と。

『男はそういうの、なんか酷くこっ恥ずかしいんだよ』。そうお父さんは云った。

そういうもんなのか と、ひとつ勉強になった。

 

 

 

 

 

母の日当日にかっちの携帯にお義母さんから電話がかかってきた。

携帯の先から漏れる、嬉しそうなお義母さんの声。

恥ずかしそうで、最高潮に照れたかっちの顔。

なんだかありがたいな なんて思ってニヤニヤしながらそんな光景を見てた。

その後、私にも代わってお礼を云われた。

『あの子が母の日にプレゼントくれるなんてもう何十年ぶりかしら』

『ぼっちちゃん気を回してくれたんでしょう、ありがとうね』

かっちの贈りたい気持ちがなければ成立しなかった母の日。

 

それから毎年、母の日と父の日の前のお休みは、プレゼント選びに費やした。

お花、植木鉢、お箸、コーヒーカップ、夫婦茶碗、急須、扇子

いつも見守っててくれてありがとうの気持ちを、色んな物や形にして贈らせてもらった。

好きな人の贈り物を選んでいる時って、本当にワクワクするもんだ。

そんな(かっちとぼっちの親へのプレゼント選びデート)が私はとても好きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この前スタジオの前に、指輪を磨いてもらいに百貨店に入った。

指輪のクリーニングは無制限で無料なのだ。

二ヶ月に一回くらいのペースで、綺麗にしてもらっている。

その待ち時間、他のフロアをなんとなしに見ていたら目に飛び込んできた(母の日コーナー)。

あぁそっか。今年もこの時期か。

そう思って売り場を眺めてた。

お義母さんに似合いそうな、澄んだ水色のストールが目の前にあった。

多分かっちがここに居たら、これを選ぶんだろうな。そう思った。

お義母さんは元々喉があまり強くなく、夏場でも薄い小さいハンカチを首元に巻いている。

色も形もこれしかないなぁって思って、ストールを持った。

うちのお母さんにはブックカバーとハンカチがセットになってるやつ。

本狂いなお母さん。老眼が進んできたって云ってたけど、まだまだ読んで欲しい本が沢山ある。

そのふたつをレジに持ってって、そのまま郵送してもらった。

 

指輪を受け取りにエスカレーターを登りながら、なんだ、今年も選んで買えたじゃん って胸を撫で下ろした。

いつも(これは?これとかどうよ??)って差し出すのが私で、

(じゃあこれにしよう)って決めてくれるのがかっちだった。

(うちのお母さんは水色とか紫、ぼっちのお義母さんはピンクとかオレンジが似合うから)とか云って、スパンと決めてくれる。

 

 

居ないけど、やっぱ私の中にはかっちがもうどうしようもないくらいに住み着いていて、私は新しい私にちゃんと成らなきゃな って思う。

上手いこと生きれたら一番いいんだろうけど、それはまだ難しいな。

 

さっき、2人のお母さんから連絡が立て続けにきた。

2人共、気に入ってくれたみたいでよかった。

かっちのお義父さんからもラインがきた。

(ぼっちちゃん、お母さんすごくご機嫌だよ!本当にありがとう、またいつでも連絡くださいね)って。

 

予定になかったけど、

本当に偶然贈ることになったプレゼントでも、やっぱり好きな人たちが喜んでくれるのを目の当たりにできることがなにより幸せだなぁ って思った。

かっちも喜んでたら、一番いい。


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