高額医療費制度 というものを、当初はかっちも私も全く知らなかった。
限度額制度と何が違うの?程度にしか思ってなかった。
最後の入院中、病院のソーシャルワーカーさんが病室を訪ねてきてくださり、そこでなんとなくの説明を受けた。
とりあえず窓口に行ってみてください。
結構返ってくると思います。
最後にそう云われた。
2回ほど窓口まで行った。
情けないほど、本当に無知な私たちだった。
そして情けないほど、闘病生活が終わってからの日々は憔悴していた。
30歳なのに、お母さんに付き添ってもらった。
おいおい子供かよ って突っ込みを自分自身に入れた。
でもお母さんもお父さんも『ぼっちはいつまでも私たちの子供だ』と云う。
そういう意味じゃないんだけどなぁ って少し笑った。
優しい役員さんは色々と教えてくださり、初めてちゃんと意味を理解することが出来た。
本当、お世話になりました。
記入漏れなんかの間違いがあったり色々すったもんだしたけど、その手続きが今日の振込み分で全部終わった。
こんなこと、知りたくなかったし、経験もしたくなかった。
これは多分ずっと変わらない気持ち。
味わいたくなかった色味のない生活。
色が付いていない景色。
急にメーターを振り切る胸の中。
楽しい気持ちを抱えたままじゃ眠れない夜。
絶望から始まる朝。
全部全部いらないものだ。
でも、知識は人を助けてくれるんだなぁって改めてそう思えた。
友達が話の中で、
『高額医療費制度って向こうから云ってくれるもんじゃなくって、こっちから申請するものだからさー。気付かない人もきっといるんじゃないかなぁ』
と云っていた。
云ってもらわないと気付けないこと、見えないことって結構その辺に散らばってる。
私も私の大切な誰かが困っていたら、知識を持って手を伸ばしてあげられたらいいな。
今のまんまじゃ全然役不足だけども!
とにかく終わった。
暑い茹だるような日を少しだけ思い出して、また蓋をした。