それは衝動的だった。確実に衝動。
整骨院帰り。最寄駅前をぷらぷら歩いていた。
全国展開している不動産屋さんの前を通りがかった。
最近出掛ける先で不動産屋さんの前を通る度、いつもこうだ。
なんとなく張ってある間取り図を見て、なんとなくわかったような気になって、なんとなくを持ったまま、そのまま帰る。
でもその日は違った。
間取り図の上に(〇〇←今住んでる駅名 以外の物件も充実豊富!)みたいな謳い文句。
それを見て、引っ越すならここじゃないどこかに私は住みたいんだと。
なんか確信してしまった。
そんでそのままふわっと扉を開けた。
ふわっとした、衝動的に扉を開けてしまった私の相手を村上さん(仮名)はほんとーーーーに根気良く付き合ってくださった。
今思い返すと冷やかしだと思われても仕方のないような態度だったのだ。
特にこれといった条件がない。
決めているエリアもない。
家賃相場がてんでわからない。
自力で調べてもいない。
つまりは、軸が私には全然なかった。ふわっふわ。
話していくうちに、手探りで見つけていった感覚だった。
何件か見させてもらう中で、2件にまで絞ることが出来た。
そこでその日は打ち止め。
友達や親などに客観的な意見を聞かせてもらって、そんで決めようと思っていた。
帰り道。ぼんやり考えた。
かっちの遺骨、今月の末にはもう実家なんだよね。
一周忌が終わるまでここに住む ってなったら、かっちがずっと居た空間に、正真正銘私だけになっちゃう期間が1ヶ月もあるのか。
勿論、遺骨だ。
骨。かっちそのものではない。けど、かっちの。かっちの骨だ。
がらんどうになったかっちコーナーを見て、
私はきっと泣くんだろうな。
またどうしようもなく泣いて、また立ち上がれなくなったらどうしよう。
引越しが出来なくなったらどうしよう。
私は私自身に対してとことん自信がない。
(大丈夫!私強くなるから!)なんて立派なことが云えないし、思えない。
想像も出来ない。
じゃあ、もういっそいいか。
かっちの遺骨と実家に帰る直前か直後に、引っ越そう。
そう思った。
単純だなって笑うかな。
ぼっちがそう決めたんならなんでもいいよって云うかな。
でもきっと、この言語化出来ないような寂しさとか切なさみたいなものは、きっと共有出来る って、なんとなく思った。
かっちとしか共有出来ないんだけどね。
とどのつまりは私の想像の中の世界でのお話だ。
いっつもこんなん。
こんなんだけど、考えないよりはましだ。
そう思って今日まで、なんとか、今もかろうじて現実世界で生きてる。
これが6月1日。木曜日のこと。
そんなこんなで、ようやっと引越しを現実のこととして受け入れ始めた。