なぞる記6
呼吸器科で造影剤のCT→胃カメラの検査→生検→PET検査(別の専門病院)を全て別日にすることになったかっち。
頭の手術は3月27日になった。
勿論全部が初体験。
私も経験したことないから、造影剤を最初に云われた『造影剤入った瞬間にかぁーーって熱くなるんだよ!』って言葉の意味は、正直今でも理解出来ていない。
(なにかやばい副作用か?)って思って瞬時に調べたら、造影剤はそういうもんなんだってことを初めて知った。
そこからは毎回、造影剤は体が熱くなる ってことはわかった。
(そういうもん)ってことは知れたけど、経験してないから本当の意味で理解はしていない。
私はかっちじゃないから、かっちの本当の痛みや苦しみは到底理解出来ない。
闘病中はそんなことの繰り返しだった。
それが、苦しくて、歯痒くて、悔しいと何度も思った。
【痛みを分け与えられる制度】なるものがあったら真っ先に使うのに なんて思ってた。
かっちは全力で止めにかかるんだろうけど。
造影剤CTを撮った日辺りから体調に変化が訪れた。
吐き気が止まらない。
脳と目の揺れが気持ち悪い。
ご飯が食べられなくなる。
布団(この時はまだ布団だった 懐かしいなぁ)から体を起こすまで40分~1時間かかる。
ゆっくりゆっくり起きても、目の揺れと脳の揺れで気持ち悪くなって吐いてしまう。
胃カメラ、生検をしてもちゃんとしたことはすぐにはわからないよ と云われた。
脳の腫瘍との関連性。
肺の自覚症状が全くないだけに、喘息の塊とかカビの一種かもしれない とお医者さんは云った。
色んな気持ちが入り混じっていた。
一番最悪なことを突きつけられるのだろうか。
まだマシって思えるのだろうか。
希望や可能性がまだ少しだけあるのだろうか。
でもその希望に全振りして最悪の結果だった場合、私は確実に崩れてしまうのではないだろうか。
かっちとはこの後どんなテンションで話そうか。
カンファレンス室でそんなことをずっと考えていた。
果てしなく長い時間に感じたけれど、実際は20分くらいの時間の経過。
私は常に自分の身の振り方と、かっちのことだけ考えていた。