白魔道士になりたい

常にFLASHBACK

あの時も迷子だったのかもね

私は新宿という街が嫌いだった。

駅は難易度の高いダンジョンだったし、

キャッチやスカウトの声掛けが恐かった。

 

打って変わってかっちは新宿大好き人間だった。

かっちが当時住んでいた場所が、新宿の駅まで歩いて行ける場所だったのもあったからだと思う。

出会って、遊ぶようになってから新宿を歩く機会が極端に増えた。

それまで知ることのなかった、知ろうとしなかった沢山の側面が見えてきた。

用があれば苦い顔をして渋々出向く場所。

滞在時間を少しでも短くしたい場所。

そんな新宿という街で。

 

 

 

 

 

 

 

当時の私は好き嫌いの激しい多感期の学生みたいな、とてもめんどくさい人間だったように思う。

(ちょうどいい)とか(中間)があまりなく、融通のあまり利かない奴。

(ぼやかす)ことの楽さとか賢さとか、そういうものを持ち合わせていなかった。

自分の中で感じた感覚が一番正しいって疑わなかった。

 

 

かっちがその当時の自分にした話で、すごく印象に残っている話がある。

人間の歩くペースの話。

 

かっち『田舎の人と都会の人、どっちの方が歩くの早いと思う?』

ぼっち『そりゃ都会の人だよ。忙しなく歩いてるもん』

かっち『田舎の人かもしれないよ?対向の人とか障害物が少ないし』

かっち『都会の人はゆっくりと人の多さが重なってるんだと思うな~』

ぼっち『先入観』

かっち『そう先入観。ほんとのことなんてわかんないけどね~なんかいまふと思ったのwww』

 

この話を聞いた時。

私の田舎脳内イメージは、おじいちゃんがだだっ広い雪の降る駅のホームをふうふう歩く そんな風景。

都会脳内イメージは、丸の内のオフィス街をザザッとかっちょよく肩で風切って歩く30代殿方 そんな光景。

 

全部、私の脳内が思い込みで出来ていたら。

先入観で凝り固まった、意固地な自分がとても損なものに思えてしょうがなかった。

そんな思いと同時に抱えた憧れと眩しさ。臨機応変でフラットに生きているかっちが眩しくて羨ましくてしょうがなかった。

その時も半歩後ろから横顔を盗んで、にやにやしていた。

私はこの人に選んでもらったんだ!

誇らしかった。

なにより、素直に嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

新宿って街も、悪い場所じゃないなぁとすんなり思えた。

沢山遊んだ。力いっぱいこの街で遊んだ。

難易度マックスだと思って避けに避けてた地下街は、とても便利なものだった。

声掛けのスマートな避け方を覚えたら(いやだな)と思う負担はなくなってた。

それがお仕事のひとつなわけだし とか思えた自分に、自分でびっくりした。

見る角度や場所によって、そのものの見え方が変わってくる。

それは人間だってそうで。

私はどんどん(嫌い)がなくなってった。

人に、優しくなれた。

自分に出来て、相手に出来ないことがあると理解出来ない、そもそも理解しようとしない そんな私だったのに。

(これ)が出来なくても(それ)が出来るじゃん。

それでいいじゃん なんて思えるようになってた。

そんな私が、どんどん好きになってった。

そんな私の隣にはいつもかっちが居た。

 

 

 

 

 

 

 

かっちが居ない新宿をぼっちで歩く。

まだ違和感だよ。

半歩前で歩いてよ。とか、手繋いでよ。とか。

すげー考えながら歩く。

どんな顔してるんだろ。今の私。

そのままでいいって云ってくれた友達には申し訳ないんだけど、

そのままの私ってなんなんだろう って考えるよ。

多分、君と話す私もそのままの私だろうけど、まるっとそのままの私じゃないんだろうし。

常に新宿で迷子だよ。

そんなバカみたいに不毛なこと、ずっと考えてるよ。

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歌詞がなんかもうまんま。

今の感じまんま。

 


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今はこのモラトリアムを駆けるよ

世の中は連休というものだった。

かっちも基本はカレンダー通りのお休み。

連休の時は思い切って遠出したり、漫画を買い込んで家でまったり読んだり、ゲームに耽ったり。

その時その時の連休を楽しんでいた。

 

 

 

 

今回の連休。

私は友達と水族館に繰り出してきた。

魚は大きくて、冷たそうで、きれいで、かわいくて、こわくて。

楽しかった。

ひらひら泳ぐ魚を、ぼうっと見ていた。

たっぷりと見入ってしまった。

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土日どっちも、ほどよく歩いて、美味しいご飯を食べて、お酒を飲んで、笑った。

ご飯屋さんの前でお店を決めてる時。

メニューをぱらぱら見ていた時。

確かに私は(お腹すいたなぁ)って思った。

その瞬間にあ、久しぶりだな って感じた。

もしかしたら1人でいても降りてきた感情だったかもしれない。

でも、そう思った時が1人じゃなくてよかったってなんか思った。

なんでかわかんないけど、そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はえんちゃんと会った。

私が感じてる(やばいかもしんない)と、彼の感じる(お前やばいかもな)が一致した。

すごくなんとなくな感覚で話すね。

いつものことだけど。

 

 

私の周りの人は(これからの私)の為に提案してくれたり、話をしてくれたりする。

それが(これからの私)にとっていいってことはわかる。

みんな時間や労力かけてくれる。

それ自体は本当にありがたくって、申し訳ないとも時折思う。

でも(今の私)がとうとう暴走し出した。

わかっちゃいるのに、へそ曲げ出した 感ぱない。

(今の私)はそんなにがんばれない。

そんなに出来た奴じゃあない。

(これからの私)の為に(今の私)が脱げる肌はない。

余裕もへったくれもぶっちゃけないのだ。

 

だから、逃げに逃げてる。

これからがどうなろうがもういーのいーの状態。

今の楽さと今の楽しさをなにより優先した。

見たくなかったら目をつぶる。

聞きたくなかったらイヤホンで耳を塞ぐ。

見つけそうになったら走って見逃す。

気分はさながらリアル逃走中だ。

 

だからこれは、いつかぶっ壊れる。

壊れるべくして壊れる。

自覚がものすごくある。

えんちゃんはそんな私と対峙して、(なるほど お前やばいかもな)なのだ。

もう私は逃げてる自覚もやばい自覚もあるもんだから、ヘラヘラ笑いながら(そん時はえんちゃん、頼むねwww)と右の掌を見せた。

えんちゃんは(いつもいつでも備えとく)と返してくれた。

私の最大の友人。

いつも頼りにしすぎてごめんね。

でもこればっかりはもう誰にも頼めない。

えんちゃんにしか云えないな と思った。

ありがとう。


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指先の青

なぞる記8

 

3月24日にPET検査。

この頃になるとふらつきが激しくなってきたから、病院内ではもっぱら車椅子。

まさか私がかっちの車椅子を押す日がくるなんて思ってもみなかった。

そんな日がきたとしても、40年後とかの話だと思ってた。

29歳が39歳の乗る車椅子を押す光景。

周りの人からの目線がなんだかしんどかった。

被害妄想だって云っちゃえばそれまでだけど。

こっちの世界とは無縁だった我々。それは幸せなことだったけど、それ故になかなかきつかった。

 

 

 

翌日に入院。

手術を控えた入院。

2人で麻酔科の先生に話を聞きに行ったりした。

物理日記によるとこの日は私、病院から早く帰ったみたいだ。

(あんまり長いこといてもかっちに気を遣わせちゃうな)だって。

 

それから先、かっちは何度も入院をするんだけど、なんかのタイミングで聞いたことがあった。

ぼっち『私ずっと居て大丈夫?疲れない?』

かっち『なんで?ありがてえっすよ』

ぼっち『1人で居たいとかそういうのないの?』

かっち『ないなぁ~ぼっちがずっと居てくれれば楽しいからありがたいよ。でもぼっちが俺に気を遣って疲れちゃったらやだから、ぼっちに任せるよ』

 

この時も、時間が許す限り居ればよかった。

人生初めての検査じゃない入院。

手術。

不安だったよね。こわかったよね。やだったよね。

今記憶をなぞると、後悔ポイントや反省ポイントがてんこ盛りだね。

もちろんGJポイントや頑張ったで私ポイントもあるけど。

後悔しても、反省しても、何ににも生かせないのがなんとも。

なんともなのだ。

 

 

 

 

 

 

翌日朝9時。

かっちのお義父さん、お義母さん、お義姉さん、お義兄さん、私のお父さん、お母さん、私が病室に集まった。

みんなで手術室の前までついてった。

かっちは余裕ぶったポーズを崩さなかった。

みんなに心配かけることをなにより避ける。そんな男なのだ。かっちって奴は。

 

手術は長かった。

時間の感覚がわかんなくなるくらい、長かった。

わかりやすく落ち着きがなかったと思う。みんな。

手術自体は4時間で終わったらしいのに、麻酔がなかなか切れなかったらしく、実際かっちに会えたのは17時を周った頃だった。

お義父さんもお義母さんも私の背中を撫でながら『ぼっちちゃん!ぼっちちゃんが一番に入りな!』って云ってくれた。

私を先頭にして、カーテンを開けた。

かっちは私の名前をぼんやり、何度も呼んでた。

黄色 赤 青

カラフルな管がいっぱいかっちの体と機械とを繋いでいた。

手に付いてたのは確か青色。

青ごとぎゅっと握った。

がんばったね とか、おつかれさま とか、細かく覚えてないんだけど、多分そんなことを云いながら、手を握った。

 


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ホワイトデーと2歩分の空しさ

ホワイトデーが過ぎた。

一昨年のホワイトデーは検査入院明けで第一の告知を受けたっけ。

去年のホワイトデーはなんかあったっけ?と思って秘儀 カメラロール巡り。

チョコケーキを2人で食べに行ってた。

んで、家でかっちの大好物リストに長いこと入ってる甘めナポリタンを作って食べた。

そんな世界中にありふれた、でも確実に楽しくて幸せなホワイトデーを送っていたようだ。

いいな。もっかいやりたいな。

目をつぶって思い返して、思い描く。

そうやってずっと眠ってたいなぁってわりかし本気で思うよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虚無感とか、喪失感とか、脱力感って、本当の意味でここまで感じたことなかったんだなぁってつくづく思う。

それはきっととても幸せなことで、恵まれた環境に自分が居たのだろう。

この歳まで温室&ぬるま湯でぬくぬく育ってきた。

だからあたりまえなんだ。

こんなに躓くの。

1歩ごとになにかしらのつっかえがあって、暫く立ち止まってしまい動けない。

 

 

そんな中、久しぶりにやってみたことがいくつかある。

久しぶりにお仕事をしてみた。

リハビリ というかお手伝いレベルで。

これがさぁ、ちょっと笑っちゃうくらいちゃんと出来て。

数字を取ってくるお仕事なんだけど、バカみたいに集中出来てさぁ。

自分が今まで出したことない売り上げを出した。

 

誘われてたバンドに加入してみた。

久しぶりに複数人とスタジオに入った。

久しぶりに最高音を自分の身体で出した。

久しぶりに重たい音の粒に乗った。

友達と直前まで電話してて、(なんかわかんないけどすごい緊張する)って話してたのね。

その友達がスタジオ終わりに(楽しめた?)ってラインを送ってくれた。

私は(楽しかったぁ)って返信した。

楽しかったのだ。

拍子がなんなら3回くらい抜けるくらい、楽しかった。

 

仕事が出来たこと、

スタジオが楽しかったこと、

びっくりして、また立ち止まる。

 

 

なんでだよwww立ち止まるなよwwwwwって思うでしょう。

私も思うわそんなん。

感情を追い抜いてしまったような感じ。

こうやって出来ることが徐々に増えてゆくんだろう。

増えてって、困らなくなる?

いまいち想像が出来ない。

 

わかっていることは、もう前の自分には戻れない。

戻れないなら、模倣すればよくね???

そんなことバカげたことを大真面目に考えてた。

カメラロールの中の楽しそうな私は明るい色の服を着て、明るい髪色して、楽しそう。

じゃあまず髪色かえよ!!!

って思い立って、すぐ髪の毛を染めた。

久しぶりに髪の色を抜いた。

大丈夫、なにやってんだろって自覚の元やってることだから。

だからきっと大丈夫。

春っぽい薄い水色のシャツを着てみた。

鏡の前で外側だけ、あのころみたいねって思った。

空しさって感情が、だんだん私に追いついてくる。

知らない間に追い抜いた感情に、ゆっくり鼻先抜かれて、また躓く。

でもこれも私が選んだ。

私が望んだ。

私が決めたんだ。

なにやってるんだろうねほんとに。

 

 

 

 

 

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BARのマスターからおすそ分けでもらったかわいい飴ちゃん。

 


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気付くと自分の掌ばっか見ている

完全にただの日記。というか忘れないように用。

 

 

 

友達に聞かれた。

『ぼっちちゃんはどうしたいの?』

『どう成りたいの?』

『どう在りたいの?』

『自分のどういう部分が欠落していると思うの?』

 

洗いざらい とは云えない、少しの部分を話した。

私はかっちのいた頃の私至上主義過ぎて、今がなによりしんどい。

こんな小さなことで他人のことがいやになるんだ。

大概のことは笑って許せてた私が好きだったのに、

ひとつのことが自分の中で留まって許せないこと、いやなこと、イラっとすることが増えたの。

変わっちゃった自分と、器の小さい自分に悲しくなってバカみたいにへこんでしまうんだよほんとにまいるよね。

 

『無理をして、まだかっこつけしいで居ようと思っちゃってるんだよ。』

『無駄に足掻いてるだけなんだよ。』

私はこう云うしかない。

 

『でもぼっちちゃんは生きてる。』

『かっこつけしいで居ようとするってことはかっこよく在ろうとしてるってことだと思うよ。いいじゃない。』

『そのままでいいじゃない。全員から好かれようとしなくていいじゃない。』

 

(デリカシーない、いやなこと云っちゃってたらごめん)と謝るその友達の言葉が、ずっぱしきた。ズバズバきた。

良くも悪くも、刺された。

刺してもらった?

わっかんないな。

 

『彼はずっとぼっちちゃんに泣いて悲しんで苦しんでほしいって望むような人だった?』

そんなわけない。

そんなわけがない。

 

 

 

そんなわけないし、そんなことないってその友達もわかってるはずなのに、そんなことまで云わせてしまってごめん って小さく思った。

どこまでもふがいない。


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脱力したら、腕を組んで

掃除をしていると懐かしいものばっかり見つけてしまうね。

懐かしくて、きらっきらしてて、当時の記憶が脳内に駆け巡る。

駆け巡って、あぁ懐かしいなって思って、力が抜けてしまう。

脱力したまま、前も後ろも向けないまま、もくもくと手を動かすことしかできない。

べそべそしながら、私はどうしたいんだろう ってとこからまだ動けない。

ぐるぐる思考停止。

してるふりして、実は停止してくれない私の脳みそ。

いっそ止まれ ってずっとずっと思ってるのに。

 

 

 

 

 

 

 

花が咲く季節になってた。

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ぼんやりと見てた。

季節は確実に流れてるんだなぁって当たり前のことを謎再確認をした。

最近どんどんからっぽになってく気がするよ。

どーでもいいかな って気持ちが今の私のほとんど。

どーでもいいかな じゃないか。

どーなってもいいかな か。

どう転んでも、なんにもないんだ。

転んだ先にただ私が用意した言い訳があるだけだ。

 

 

 

 

 

私が選んだ。

私が決めた。

そんな言葉自体、全部が呪いみたいにすら思えてきた。

 

 

 


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(ずっと前からのおそろいだね)

CD類も片付けてた。

明らかにかっちの持ってたCDのが少ないんだけどね。

そこでまた、見つけた。

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同棲し始めの頃。

お互いのCDを各々ラックに入れてた。

私は(かっちはどんなCD持ってるのかな~)ってな好奇心から、かっちの持ってきたCDを眺めてた。

そこで見つけた。山崎まさよしの【HOME】というアルバム。

笑ってしまった。

被ったのだ。

嬉しかった から、笑ってしまった。

 

かっちに『見て見てwまさやん被ってるww』って笑いながら見せに行った。

かっちも笑ってた。

『俺ヤサ男の夢がすきなんだよね~w』

『私もその曲めっちゃすき!』

 

 

 

 

 

 

 

些細な共通点が異常なほど嬉しかった。

これから一緒に暮らしてって、どんどん些細な共通点は増えるんだよ。

増えて、笑って、肯定し合って、それがめちゃくちゃ楽しいんだよ。

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