私の心の懺悔をここだけに。
私は手紙を書くのが好きだ。
(自分の今思ってることを相手に伝えられて、尚且つ物理で残る)からだ。
だから些細なことでしょっちゅう手紙を書いていた。
その餌食となるのはもちろんかっちだ。
私はめぞん一刻が好きだ。
かっちも大好きだった漫画のひとつで家にも愛蔵版が全巻ある。
かっちとぼっち『こんなに男関係で優柔不断な女なのに全く憎めない響子さんってまじすげーー』
かっち『冷静に考えて、未亡人でPiyo Piyoってプリントされてるエプロン着ていいのは響子さんだけだよなぁ』
ぼっち『五代くん男だよ…惣一郎さんを好きだった響子さんひっくるめて好きなんだもんな…いい男だよ』
こんなアホな会話の中で私たちは生きていた。
あーちょっと泣きそうだ。
話を戻して。
だから私はよく、手紙の最後に(響子さんルール)を書いていたのだ。
『私より一日でいいから長生きしてね』 と。
もちろん深い意味などない。病気が分かる前からずっとだから、所謂テンプレみたいなものになってたと思う。
いや、深い意味はないけど、それ自体は本心よ。
だって残されるのいやだもん。
私は看取るより看取られたい。
ぼんやり、だけどはっきりと私はそう思ってたからそう伝えた。テンプレの中で。
でも、病気が見つかってから、そんなこと書けなくなってしまった。
今まで身近に置いてなかった(死)ってやつがどんどん近くまで迫ってきている気がして、こわくて、書けなかった。
最後の旅行をした2015年の10月。
旅先の宿でかっちから一通の手紙を渡された。
そこには、病気になってごめん
迷惑とか心配かけてごめん
結婚式も延期にしちゃってごめん
でも一緒に傍に居てくれてありがとう
お前がいるから頑張って生きたいと思う
そんなことが便箋一枚分綴られていた。
長い話やややこしい話が嫌いなかっちは手紙を書くのが苦手だった。
なのに一生懸命書いてくれて、しかもこれなんだよ謝罪文かよwwwって笑って、泣いた。
手紙の締めに綴られていた言葉は、
『俺はお前より一日でも長く生きる。これ約束』
私は何年にもかけてこの人にこんなすり込みをしてしまっていたのか と思って、瞬間、謝りたくなった。
いいんだよって
そんな私のことなんかいいんだよ考えなくて
確かに私より長く生きて欲しいけど、わたしのかけ続けた言葉が無意識に重い呪いのように感じていたら とか、
かっちは私の弱さをまるっと知ってるから、こいつには看取らせられねーぜって気にさせちゃってる とか、
とにかく色んな感情が自分の身体中いっぱいに広がった。
心の懺悔です。
アホみたいな言葉をかけ続けてごめんなさい。
先に逝ったって、約束破っちゃったって、気に病まないでください。
看取れて幸せだったとは云わない。毛頭思わないから。
でも私だけに見送らせてくれて、どうもありがとう。